講師を育てる講師の目標は、学び続ける組織を作ることでした。
「もっと学びたくなる学び」を提供することで、変化し続ける社会に適応し未来をつくる「人」を育てることがITやデザインの教育サービスを提供するWinスクールのパーパス。そのためには、その役割を担う講師もまた、変化し続けなくてはならない。常に社会に求められる講座や研修を提供するためにWinスクールでは、講師を育成する講師陣が年間に数十回もの社内研修を担当。そのリーダーの古家 義之と石塚 秀樹に話を聞きました。
約半年間の講師育成プログラムを講師陣に実施中
ーーはじめに、今行っている講師育成プログラムについて教えてください。
古家:約半年かけて行う講師育成プログラムをWinスクールの講師向けに行っています。すでに講師として活躍している方も含めて、講師としての基礎的なコミュニケーションからインストラクショナルデザイン、ファシリテーションスキルを全16回のプログラムで学んでもらうことで、個人レッスン、集合レッスン、オンラインスクール、教材制作、eラーニングの作成まで、すべてうまくこなすことができるようになります。
ーーかなり大がかりな育成プログラムですね。どんな目標をもって、こういった講師育成に取り組まれているのでしょうか?
古家:講師育成の前提は、やはり今の時代背景があると思ってます。技術革新が早く、先行きも不透明。激流のように変化する時代に、たとえばかつて行ってたようなアプリケーションの使い方やコーディングをひとつひとつレクチャーするような講師育成スタイルから、自ら考えて頂くようなスタイルに変化する必要があると思っています。
石塚:もちろん、講師のレベルアップや指導方法の標準化は大事です。ですが、それよりも講師が受講生以上に、常に学ぶ姿勢をしっかりともち続けることが重要だと考えています。現状に満足することなく、常に課題感を持って自身の成長を感じることができなければ、受講生に臨場感をもってスキルや知識を教えることはできないですよね。
学び続ける組織をいかに作るか、というのが私たちの大きな目標
ーー講師育成の方法も、昔と今ではだいぶ違うということですね。
古家:そうです。当社のパーパスが策定されたときに、現状の講師育成の方法でいいのか、ということについてはかなり考えました。
石塚:以前は、新しく入った講師はベテランの講師から教わりながら、ノウハウを得ていく、というよくある育成方法でしたが、今は、学び続ける組織をいかに作るか、というのが私たちの大きな目標になってます。
大事なのは、育成ニーズの本質をとらえること
ーー顧客・受講生が求める講師というのも様々だと思います。どのようにして顧客ニーズを講師育成プログラムに取り入れていますか?
石塚:顧客ニーズは、たとえば、新入社員を即戦力にできるよう講師を育成してほしい、といった形であらわれてきます。ただ、それは表面的なニーズで、大事なのはその本質だと思ってます。
ーー本質というのは?
石塚:即戦力といってもいろいろありますよね。すぐにひとりで仕事ができるようになってほしい、というような即戦力のイメージもあれば、チームで働けるようになってほしい、とか最近だと自走できるエンジニア、自ら学ぶエンジニアが良い、といった意見もあります。
ーー即戦力といっても、いろいろあるんですね。
石塚:そうです。ですので、求められる即戦力のイメージをお客様と共有して、それに沿って育成プログラムを組んだり、教え方を変えるのが講師の役割だと思っています。育成の本質を意識できる講師を育てることがニーズにこたえるために重要になってきます。
ーーなるほど。講師育成の難しさや成功のポイントについても教えてもらえますか?
古家:詰め込みすぎず、且つ飽きさせないことですね。
ーーというと?
古家:講師育成は実際のレクチャーの前の事前課題や、レクチャーの後のフォローアップ課題、アーカイブ動画の提供、あとは研修参加者同士の座談会などが大事なんですよね。そのどれにも、ぎゅっとカリキュラムを詰め込みたくなると思うんですけど、そこをやりすぎてしまうと逆に受講生のモチベーションが下がってしまう。育成のための研修は事前課題や座談会も含めると何か月にわたって続くので、詰め込みすぎない、でも飽きさせないというのが大事です。
ーー石塚さんはどうですか?
石塚:そうですね。強制的に人を動かすことはできないし、成長させることはできないので、自己を素直に振り返る内省、実際にやってみて他の人からもらうフィードバックによる気づき、その課題を具体的行動に落としていく、といった自律的なサイクルによって、変化を実感してもらうのが、重要だと考えています。その先に成長があると思ってます。
ーー研修をしてから効果が表れるまで時間がかかると思います。どのように研修の効果を測定してますか?
古家:アンケートを取る、ということもやってますが、フォローアップ目的のワークショップで研修効果の確認を行ってます。
石塚:研修の効果を落とさないために、研修内容のトピックスを短くまとめたものを、メールマガジン的に一定期間毎日送ることによって、興味を継続してもらう、といった取り組みも行ってます。
人材育成の担い手を育てるということに取り組んでみたい
ーー今後はどのような人材育成の取り組みをしていきたいですか?
古家:自ら勉強会などを企画できるような、人材育成の担い手を育てるということに取り組んでみたいですね。
石塚:私もです。今取り組んでいる「研修講師育成プログラム」も、ここで学んだ方が次の方へ伝えていくサイクルが確立できたら、と考えています。あとは、等級別に必要な知識やスキルを標準的に学ぶことができる仕組みづくりにも取り組んでいきたいです。
ーーまさに学び続ける組織を作る取り組みですね。期待しています。本日は、ありがとうございました。